そのひぐらし

そのひぐらし。日記のようなことを書きます。気に入ったらぜひラブコールをどうぞ。

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君の街まで

その高台から見える君の街は,遠くシンボル的にそびえるあの目立った高層マンションがちょうどもう沈みかけた夕焼けの太陽の真ん中で陽炎のようにゆらゆらとかすんでいるという様子であった.君と一緒にいた頃は,あの巨大に街を支配しているような建物も私の中で大した意味を持たず,そこは小さな4階建てのアパートと公園と各駅停車の電車しか止まらない駅だけが存在する,とても美しくも小さな楽園だった.あの頃は吸わなかったタバコを義務的にポケットから取り出すと,長く息を吸いながら火を付けて深く肺に煙を入れた.あの頃の関係にまつわる原因や理由と言ったモノを考え始めると,あまりにもヒロイックな自分の趣味に嫌気がさしてきたのだが,同時に切ない物語の主人公である自分を感じ,悦に入っていたかもしれない.自分とも21年間付き合ってくるとだいたいどんなヤツなのかがわかってくるものだ.幼い頃自分は夢の中に生きていて,どんなときでも主人公でいられる自分に疑いを抱くことも,そんな心配を抱くことすら微塵もなかった.いつしか感じることの多くは考えることに取って代わられ,経験が衝動に先行されるようになってしまった.この僕ができる課程で,君は多くを僕に教えた.望むことにブレーキをかける外的規範が僕の眼前に立ちふさがっている.それを悪いとは申しません.僕たちはもう大人なのだから...
僕が自らの手で楽園を失ってしまったあの日の感覚を,僕はもうはっきりと思い出すこともできないのに,未だに僕は白昼夢の中でうなされる.そんな君の想い出をいつでも見下ろせるこの町から僕は今日も眺めている.時間はそんな僕に容赦なく,君の街からこの枯れた少年を引き離そうと太陽を地球の向こう側に沈めてしまったのだ.
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  1. 2005/05/21(土) 01:46:01|
  2. 愛のために
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